「コールサック」日本・韓国・アジア・世界の詩人

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田島 廣子 (たじま ひろこ)

【経歴】
1946年宮崎県生まれ。国立大阪病院付属看護助産学校看護婦科卒業。
多くの病院で看護部長、病院師長を歴任ののち退職。大阪府に暮らす。
詩集『白衣の歩み』、『愛 生きるということ』、『くらしと命』など。
所属「関西詩人協会」「軸」「人間詩歌」「詩人会議」。

【詩を紹介】


わらい


虹のかなたに

しあわせな人が住むという

それはモナリザのほほえみのように

朝陽に輝いている


たろうかじゃの笑いもいいが

心が豊かになるような笑いが

白衣のポケットからこぼれるような

しあわせが瞳からあふれるような

花の種がはじけこぼれるような


そんな すてきな笑いが

耳をすましてごらん

ほら 聞こえはしないかい







忘れてはいけないこと             


忘れてはいけないこと

それは広島 長崎に実験ずみの

原子爆弾を投下したことです


広島で先頭にたって看護にあたったのです

雪永政枝先生 

看護婦達は被曝しました

忘れてはいけないこと

赤ちゃんの胎動を感じることも

陣痛の痛みも出産の感動もなかったのです


被曝した看護婦達は

白衣に秘めて

結婚はしませんでした


いただいたシルクの反物で

花嫁のドレスをつくるのではなくて

いただいたシルクの反物で

ワンピースの白衣をつくりました


ナイチンゲール賞をいただかれた雪永先生に

看護の授業を受けたことは私の宝です

白血病でなくなり骨をひろった時 私は

看護への情熱が わいてきたのです

赤旗新聞を読んでおられた姿も忘れません


忘れてはいけないこと

毎朝ナイチンゲール誓詞をいって

病棟に実習に行きました

雪永先生は看護学生を

ライトハウスや

らい患者施設に連れて行き

生きざまやくらしを見せました

痛いほどに いのちをまもり

輝かせていくすべを教えたのです



*ナイチンゲールの看護精神に基づき、看護師の心構えを示したもの







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「コールサック」(石炭袋)119号

「コールサック」(石炭袋)119号 2024年9月1日

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